綺麗な朝焼けに姿を変えていた。
その朝焼けも、このマンションのバルコニーから見ると一段と綺麗だった。海が見え、すぐ近くに見える公園が朝日に照らされ、キラキラ光っている。緑のその色は、7色に輝き、海の遠くから、光の反射で青が青でない。金色《こんじき》の海のように見える。
「― 綺麗!!」
あたしは、その風景に見とれていた。
この夜にあたしは、一気に色んな事を知った。
学生時代の朝陽さんの話。二人が学生時代にどんな事に夢中でどんな未来をみていたのか。
一穂さんの、学校での体育の先生ぶり、今の小学生は・・・・・なんてまるで、年寄りくさい台詞だと思った。
瑞穂さんも、会社の事や、バンドの事などを話をしていた。
あたしは、この前のドライブでギターをやっている事は聞いていたけど、バンドを組んでるとまでは知らなく、驚いた。
もっとも活動は月に2回程度のローカルバンドだと言っていた。
3人グループでボーカルとギター担当と言うから、かなりモテルだろうと想像できる。なにもしなくても会社であれだけの評判なのだから。
あたしは、学校での話とか家の話などなど、それぞれが色んな話をして、3人でバルコニーから朝日を眺めていた。
朝の5時過ぎ。急に一穂さんが言った。
「花音ちゃん、一緒にきてっ!」
あたしは手を引っ張られて、玄関で急いで靴を履いて、飛び出た。
勿論、慌てた瑞穂さんも続く。
「瑞穂!鍵・・・かけておいてくれっ!」
鍵をぽんっと、瑞穂さんに投げる。それを右手でキャッチすると
瑞穂さんは急いで、鍵をかけ、全速力で2人の後を追いかけた。
勿論、あたしの右手と一穂さんの左手は繋がっていて、一穂さんの
右手にはトランペットがしっかりと握られていた。
車に乗り込んで、10分ほど走ると、近くの小さな港の波止場で、
一穂さんは朝日に向かってトランペットを吹いた。
曲は「夜明けのトランペット」
その音色はとても心地よく、朝焼けに吹くに相応しい曲だった。
一穂さんの吹く5曲の中にその曲は入っていなかった。
その5曲とは・・・「波の音色」「夜空のトランペット」「永遠のデゥエット」「さすらいのトランペット」「星空のブルース」の5曲をあの、灯台で毎年この季節に吹いている。そしてその4曲までは
自分で調べて知っていた。「波の音色」だけがオリジナル曲だったのだから当然誰にきいても知らないはずだ!


